
待ち遠しかったジュリー・ファウリスの新作が届きました。
ジュリーはスコットランドで現在若手最高のガーリック・シンガーです。
ジュリーを知ったのは、彼女が参加したグループ、ドーカスのデビュー作(02年)でした。
ジャケットのイメージどおり、若い女の子たちが弾き出すフレッシュな演奏に、
目の覚めるような感動をおぼえたものです。全世界を見渡したって、
これほどみずみずしい音楽をやっているグループは、ちょっと思い当たりません。
その後ジュリーはソロ・アルバムを05年にリリースし、07年に2作目、今年の3作目と、
ホップ・ステップ・ジャンプで歩みを進めてきました。

ぼくがこの人のどこに惚れ込んでるのかというと、声なんですね。
飾り気のない、どこまでも抜けていく青空のような澄んだ美しい声。
そして、歯切れのよいガール語(スコティッシュ・ゲール語)の発声と、
音符がタップしてるようなディクションのよさ。
ジュリーの声には天性のリズム感が備わっています。
ジュリーが生まれたスコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島にある
ノース・ユイスト島というところは、湖と沼ばかりの荒涼とした島で、
スコットランドの中でも一二を争う辺境といっていい土地なんだそうです。
そんな自然に囲まれたところからしか、こんなピュアな歌って生まれてこないのかもしれません。
田舎の人が純朴で、都会人が汚れてるってイメージも、一種の偏見ではあるんですが、
こういう透明感あふれる音楽を聴くと、やはりその純朴さに感じ入らずにはおれません。
ジュリーの音楽を聴いた誰もが、彼女のトリコとなってしまう証拠に、
わが家においても、普段はR&Bが好きな大学1年のお姉ちゃんも、
ジャック・ジョンソンとナラ・レオンが好きな中3の妹も、
二人して07年作“CUILIDH”をiTunesに入れているほどです。
きっとこの新作も二人に所望されること、間違いなさそうです。
Julie Fowlis "UAM" Shoeshine SPIT038 (2009)
Dòchas "DÒCHAS" Macmeanmna SKYECD23 (2002)
Julie Fowlis "MAR A THA MO CHRIDHE" Macmeanmna SKYECD33 (2005)
Julie Fowlis "CUILIDH" Shoeshine SPIT032 (2007)
【訂正とおわび】文中の「ドーカス」の読みは誤りで、正しくは「ドーハス」と
読むとのご指摘をいただきました。Tadd IGARASHIさま、ご教示ありがとうございました。