KSA BRF.JPG KSA Happy Moments.JPG

昨年のアルバム“MORNING JOY” で、日本でも少しは知られるようになった
ナイジェリア、ジュジュの大ヴェテラン、キング・サニー・アデの健在ぶり。
https://bunboni.livedoor.blog/2010-06-11
今年は嬉しいことに新作を2枚、矢継ぎ早にリリースしてくれました。

まず1枚は、ナイジェリアで3月にリリースされたという “BRF”。
BRFって何?と思ったら、レゴス州知事Babatunde Raji Fashola の頭文字を縮めたもの。
ジャケット裏に、ファショラ知事その人が背広姿で写っています。
州知事選挙向けのキャンペーン・アルバムで、
アデの応援のかいあって、4月にめでたく現職を守って再選されたそうです。
アルバムはLP時代同様、長尺の2曲が収録されていて、
1曲目はおごそかに歌とリズムがスタートし、実に控えめというか、静かな演奏が続きます。
選挙応援用というので、さぞエネルギッシュなジュジュをやってるんだろうと
聴く前は予想していたので、これは意外でした。
2曲目はテンポをぐっと上げ、軽やかなフットワークのジュジュにスイッチしますが、
全体を通して、落ち着いたヴェテランらしいクールな仕上がりとなっています。

そしてもう1枚が、ナイジェリアのイバダンと
アメリカでレコーディングされた“HAPPY MOMENTS”。
収録された4曲すべて、それぞれ表情の異なるジュジュを聞かせていて、
ヴェテランならではの懐の深い作品に仕上がっているんですね、これが。
アイディアに富んだシカケをふんだんに散りばめながら、
肩の力の抜けた余裕しゃくしゃくの演奏ぶりが楽しめる、痛快なポップ作です。

しなやかなビートで始まる1曲目の“Ojumo Tonmo” は、
アデとコーラスのクールな歌い口がすっきり爽やか。
16分音符を多用した高音のリード・ギターのリフも軽やかなら、
さりげなくリズム・チェンジしてルンバ・ロック調のパートを差し挟んだりと、
演出も巧みです。

2曲目の“EYI MA DUN TO” は、本作でもっとも話題を呼びそうな異色ナンバー。
ステデイに6つを刻む8分の6拍子の曲で、
アクースティック・ギターが出てきて、おや?と思うのもつかの間、
笛がフィーチャーされるという意表をつく展開で、曲が進みます。
ヨルバ版「祭ばやしが聞こえる」といった感じの曲で、ワークソングふうのメロディーといい、
がやがやとした人々のざわめきをバックに入れているところといい、
かつてのアイランド盤の歴史的名作“SYNCHRO SYSTEM” を思い起こさせますね。

3曲目の“Emi Won Nile Yi” は、
ゆとりを感じさせるミディアム・テンポの心地よいグルーヴのジュジュ。
最後の4曲目“Oko Lolori Aya” は、アクセルを踏み込んだアップ・テンポのジュジュ。
ブレイクを多用したリズム・アレンジのなかで、
アデのトレードマークともいえる個性的なリード・ギターのフレーズや、
トーキング・ドラムのフィル・インが次々と交叉する、悶絶もののカッコよさ。
オルガン・ソロをフィーチャーしたジャム・バンド的な展開をみせるパートも
聴きどころで、ドキドキさせられっぱなしです。

全体にリラックスした演奏ながら、要所要所で聴かせどころを作り、
一本芯の通ったぴりっとしたアルバムに仕上げているところは、
さすがアデとウナらされます。
この軽やかでポップな身のこなしは、流行を追うのをやめたアデが、
自身の持ち味を生かしたジュジュを煮詰めていった結果、生み出した境地でしょうか。
21世紀の“SYNCHRO SYSTEM” と呼ぶにふさわしい傑作ですよ、これは。

最後に追記情報。
“BRF” “HAPPY MOMENTS” ともに、レーベルはマスター・ディスクですが、
配給先が以前のNIRA・サウンド・ラボラトリーから、
アデモラ・レコードに変わっています。
アデモラとは旧音源の使用権利も契約したようなので、
80年代のサニー・アラデ音源のCD化が期待できるかも。ひゃっほい!

King Sunny Ade "BRF" Master Disc no number (2011)
King Sunny Ade "HAPPY MOMENTS" Master Disc no number (2011)