
前回取り上げたリザ・ジェイムズのアルバムに聞き覚えのある曲があり、それが ‘Totte’。
歌詞が付いていて、おやと思ったんですが、
オリジナルはギタリストのジミー・ドゥルドゥルの07年作に収録されていました。
こんなチャンスでもないと、ジミー・ドゥルドゥルについて書くこともないだろうから、
今回はこのフュージョン・ギタリストを取り上げましょう。
初めてジミー・ドゥルドゥルを聴いた時は、驚いたなあ。
ドゥルドゥルを知る人ならうなずいてくれると思うけど、
ジョージ・ベンソンと瓜二つなんですよ。
ジョージ・ベンソンと瓜二つなんですよ。
ブラインド・テストしたら、10人中10人が「ジョージ・ベンソン」と答えるはず。
ギター・プレイばかりでなく、ユニゾンでスキャットするヴォーカルまで完コピー。
こんなギタリストが南アにいるとはオドロキでした。
のちにジミー・ドゥルドゥルは南ア人ではなく、モザンビーク人だということを知りました。
80年代半ばにスワジランドやボツワナで活動をしたのち、90年にジョハネスバーグへ移住。
セッション・ギタリストとして活動を始め、マッコイ・ムルバタのバンドを皮切りに、
ヒュー・マセケラ、ミリアム・マケーバ、ブレンダ・ファシー、チッコなど
南アのトップ・スターたちのバックを務めます。
南アのスタジオでファースト・コールのギタリストとして名声を高め、
94年にはジャズ・ギタリストのレジェンド、ハーブ・エリスとも共演しています。
南アの有名なフュージョン・ギタリストって、なぜか近隣国出身者が多く、
ドゥルドゥルばかりでなく、ルイス・ムランガはジンバブウェ人でしたね。
本国ではジャズ・ギタリストの仕事の場がないんだろうなあ。
そしてドゥルドゥルは97年にアルバム・デビュー。
ぼくが最初に聴いたのは99年のセカンド作でした。
手元にあるのは、デビュー作とセカンド作に先の07年作、16年作の4作です。


ジョージ・ベンソン・スタイルのギターはどの作品も同じで、
99年作ではそれほどアフリカ色を打ち出していませんでしたが、
07年作や16年作ではアフリカらしいコーラスなどを配して、
汎アフロ・ポップ・フュージョンを展開しています。
07年作には、モザンビークのティンビラ・オーケストラが出てくる曲もありました。
アメリカ産フュージョンと寸分違わないクオリティのプロダクションで
アフロ・フュージョン・サウンドを楽しめるのは、ドゥルドゥルならではですね。
Jimmy Dludlu "PORTRAIT" Universal CDSRBL398 (2007)
Jimmy DluDlu "ESSENCE OF RHYTHM" Universal CDSRBL268 (1999)
Jimmy Dludlu "IN THE GROOVE" Universal CDRBL811 (2016)