
ブルックリンから J-POP みたいな音楽が出てくる時代が来るとは。
日本人の母を持つという女性シンガー・ソングライターのデビュー作。
「ジャズとボサ・ノーヴァにインスパイアされたインディーJ-POP」とは、
ご本人の言ですけれど、それがすべてを言い尽くしていますね。
メイ・シモネスが弾くギターに、ベース、ドラムス、ヴィオラ、ヴァイオリンという編成で、
ジョアン・ジルベルトに影響されたようなつぶやきヴォーカルのボサ調ばかりでなく、
ハードな質感のマス・ロックみたいな曲もやっています。
日本語英語まじりの歌詞がとても自然体で、
音楽同様どこにも力の入っていないところが、新人ばなれしてますね。
この気負いのなさが魅力で、それでいて音楽はめちゃくちゃ高度。
1曲目の ‘Dumb Feeling’ 、そして3曲目の ‘Tora Moyo’ でも、
いきなり凝ったバップ・フレーズのギター・イントロで始まるんだけど、
こんなリックをさらっと弾くなんて、ただもんじゃないと思ったら、
バークリー音楽大学でギターを学んだんですと。恐れ入りました。
ちなみに ‘Dumb Feeling’ のイントロは、
チャーリー・パーカーのリックと ‘Polka Dots and Moonbeams’ を
組み合わせたんだそう。
楽曲のハーモニー・センスがバツグンに良くって、
ヴィオラとヴァイオリンの弦をレイヤーしたアレンジにも、ウナらされました。
ヘッド・アレンジなのかもしれないけれど、アレンジャーの資質も相当に高そう。
すでに来日公演もしていて、今年のフジロックにフル・バンドでやってくるそうです。
もし単独公演もやるんだったら、観に行きたいな。
Mei Semones "ANIMARU" Bayoet BR066 (2025)