
サトウキビ畑にフルートを持って立つ女性の足元に、
シンセサイザー、サンプラー、コントローラーが置かれているジャケットに、
この音楽の内容がすべて表現されていますね。
言うならば、フレンチ・カリブのネオ・ソウルでしょうか。
セリア・ワは、パリ生まれのグアドループ人フルート、キーボード、マルチ奏者。
幼い頃からグアドループのアフロ・カリビアン音楽に親しみ、
8歳の時にグウォ・カで使われるカ(太鼓)と横笛の演奏を学び、
サン=タンヌのマルセル・ロリア音楽学校に進んで、
わずか12歳でキンボル・ビッグ・バンドでステージ・デビューを果たしたという人です。
その後セリアはパリに戻ると、12年にワ・エレクトロ・カルテットを結成し、
グアドループの伝統音楽にソウル、ヒップ・ホップ、ジャズ、
エレクトロを取り入れる試みを探求していきます。
反植民地運動にもコミットして、アフロ・フェミニスト・ブラス・バンドの
30ニュアンス・ド・ノワールのメンバーの一員として、
グアドループの文化遺産に対するコミットメントとアイデンティティを主張しています。
そんなセリアのデビュー作は、
10年共に活動してきたキーボード奏者のグザヴィエ・ベランと、
10年共に活動してきたキーボード奏者のグザヴィエ・ベランと、
ドラマーのクリストフ・ネグリットのトリオを中心に、ツアーで一緒のギタリスト、
ダヴィッド・ウォルターズを加えたメンバーで制作されています。
ダヴィッド・ウォルターズを加えたメンバーで制作されています。
レーベル・メイトでもあるダヴィッド・ウォルターズは、
マルチニークにルーツを持つマルセイユ生まれのフランス人音楽家で、
UKマナーのアフロビーツを経由したカリビアン・ソウルを標榜する人でもあるので、
セリアと立ち位置を同じくする音楽家といえます。
セリアの歌とフルートに絡むエレクトロ・サウンドは、ネオ・ソウル寄りのポップなもので、
グアドループ新世代らしい平明さがあります。
パーカッシヴなグウォ・カの野性味はない代わりに、
クリストフ・ネグリットのドラミングにグウォ・カのリズムがトレースされていて、
シンプルに整理したリズム・フィギュアに新しさを感じます。
シンセがレイヤーされたサウンドの遠景に、
カのリズムがたゆたうドリーミーさなんて、シャレているじゃないですか。
同じくグアドループ出身のパーカッショニスト、ロジェール・ラスパイユほか、
コラ奏者ウスマヌ・クヤテのコラがゲストでフィーチャーされています。
Celia Wa "FASADÉ" Heavenly Sweetness HS267CD -2025-