after you

bunboni こと 荻原和也 の 音楽案内所 musicaholic ブログ(隔日刊 2009年6月2日より)にようこそ。

Searching for good music of the world

カテゴリ: 東南アジア

Salin  Cosmic Island
自分が注目しているアーティストが来日するなんてことは、ほぼほぼないというのが、
世間とズレた音楽嗜好を持つ人間の悲しき現実なので、
カナダ在住タイ人ドラマーのサリンが来日するというニュースには飛び上がりましたよ。
サリンの “RAMMANA” は、去年のベスト・アルバムでまっさきに掲げた作品。
そのサリンをコットンクラブが呼んでくれるとは思わなかったなあ。

取材前日のライヴを観たんですけれど、プレイ中ずーっとニコニコしていて、
こんなにずっと笑顔でプレイするドラマーも珍しいんじゃないですかね。
心の底からプレイするのが楽しくってしょうがないといった感じで、
観ていてとてもとてもすがすがしい思いがしました。

そしてプレイの方もスゴかった。
これまで観た女性ドラマーでは、ダンプスタファンクでやってきたニッキー・グラスピーの、
ビリー・コブハムばりのパワフルなドラミングに驚愕したことがありましたけれど、
別な意味でサリンのドラムスにも驚かされました。

小柄な身体から繰り出される強力なキック。
ドラミングが全体にとても精緻で、音量のバランスがバツグンにいいんです。
複雑なフィルを叩く場面などでは、さすがに笑顔が消えて、
すごく集中した表情を見せるんですけれど、そうした時でも、
ビートからの接続や手足のコンビネーションが崩れず、
速い連打やタム回しで音の流れを作っていくのに、ウナらされました。

そうした高い演奏力は、名のあるドラマーに師事して習得したのではなく、
完全独学で誰にも師事したことがないっていうんだから、またまたビックリです。
今日び石を投げればバークリー卒というドラマーばっかりですけれど、
こういう人が野良から出てくるってのが嬉しいよなあ。
その実力をどう身につけてきたのかという話もユニークなら、
プロ入り当初の音楽も予想外で、そのあたりの話は
ミュージック・マガジンの今月号に書いたので、ぜひ読んでみてください。

“RAMMANA” にカンゲキして、21年のデビュー作も聴いてみたら、
まったく志向の違うネオ・ソウル~ファンク・アルバムだったのには、へ~え。
全曲シンガーやラッパーをフィーチャーした歌ものとなっていて、
もろにディスコな曲もあれば、ジャジーなネオ・ソウルあり、
ラテン・ソウルあり、ファンク・ロックありとヴァラエティ豊かなアルバムとなっています。

感心したのは楽曲が粒揃いで、どの曲もフックが利いていること。
“RAMMANA” でもサリンの作曲能力が示されていたけれど、
キャッチーな ‘In Tune With The Moon’ なんて、
ヒット・チャートを賑わせたって不思議ないよねえ。

ドラムスのプレイで注目は ‘Reality’。 曲はジャジー・ソウルなんだけど、
トニー・アレンをまんまトレースしたアフロビート・ドラミングを聞かせます。
なんでもこの頃からアフロビートを賢明に練習していたんだそうで、
この曲が初のお披露目だったそうです。

全8曲わずか30分足らずで終わってしまい、
もっと聴きたい!と思わせる、ポップな訴求力に富んだ快作です。

Salin  "COSMIC ISLAND"  Salin Music  no number  (2021)

Mỹ Mỹ  BURNING BLUE
タイラの影響力、おそるべし。
新年初記事にした台湾の真愛ばかりでなく、
V-POPの新人ミー・ミーのデビュー作も、タイラに感化された作品となっています。

真愛は声がタイラ似というだけで、アマピアノの影響はなかったけれど、
ミー・ミーはゴンゴンと響くログ・ドラムのシンセ・ベースを取り入れて、
アマピアノを完全に消化してますよ。
アマピアノはすっかりユニヴァーサルになったということですねえ。

R&B、ヒップ・ホップ、ラテン、アマピアノを横断したサウンドは、
もはやヴェトナム産ということすら意識にのぼらせないグローバル・ポップな仕上がり。
ヴェトナム語に英語を織り交ぜて歌っていて、
ヴェトナム現地メディアでも英語の取り入れ方が巧みと評されているので、
V-POPでも新しいタイプなのでしょう。

アルバムは全12曲。新曲8曲が本篇で、
そのあとのリミックス1曲と既発3曲はボーナス・トラックとされています。
ミー・ミー自身も作詞作曲をしていますが、
音楽監督のマチオットという人がサウンドのキー・パーソンのようですね。
アマピアノを取り入れた仕掛け人はこの人なのかも。

もともとミー・ミーはダンサー出身だそうで、
当初はダンス・ポップを歌っていたようなのですが、
ストーリー性のあるバラードや、抑制されたメロディーを繊細に歌い、
豊かな表現力を身につけるようになったといいます。
たおやかな歌いぶりは、とても魅力的ですよ。

「水の中で燃える青い炎」をコンセプトとした本作は、
静寂と躍動感を同時に映し出していて、
静謐さのなかにゆらめく情熱の炎を鮮やかに表現しています。

Mỹ Mỹ  "BURNING BLUE"  Hãng Đĩa Thời Đại  no number  (2025)

Salin  RAMMANA
タイの旋律打楽器コーンウォンのなかに座り、
女性が両手で別々の太鼓を叩いているジャケットに目を奪われました。
タイの伝統音楽のアルバムかと思いきや、
カナダ、モントリオール在住のタイ人女性ドラマーの作品で、
写真に写っているのがご本人だというのだから、
こりゃあ聞かないわけにはいかないでしょう。

バンコク出身のサリン・チーワパンスリは、19歳で夢を追って北米へと渡り、
ストリート・ライヴからキャリアをスタートさせたというドラマー。
ジャズ、ファンク、ヒップ・ホップ、メタル、ドラムンベースなど、
さまざまなアーティストと共演するまで成長し、
現在はスタジオ・ミュージシャンとして活躍。
カナダ各地のジャズ・フェスティヴァルにも出演しているそうです。

本作が2作目で、タイトルの「ラマナー」とは、
ジャケットでサリンが左手で叩いている平面太鼓のこと。
「ラムマナー」や「ランマーナ」と書いているテキストがありますが、その発音違います。
マレイシアのルバーナと同種の打楽器ですね。
右手で叩いている円錐形の打楽器トーンと対で演奏します。

サリンが使っているラマナーは、タイ南部の海洋民ウラク・ラウォイッのもので、
ウラク・ラウォイッがアフリカのリズムと音楽をタイにもたらしたのではないかと思いつき、
タイの先住民についてリサーチし始めるようになったといいます。
一方、フェラ・クティやミーターズを好むサリンは、
アフロビートとモーラムの融合を本作で試みたんですね。

これが本格的でスゴいんです。サリンのドラミングの腕前は一級品。
アフロビートのグルーヴにのせ、分厚いホーン・セクションが躍動するなか、
ケーンやピンにモーラムのこぶし回しがなんの違和感もなく
サウンドに溶け合っている ‘Ma’at (มา อัด…)’ もあれば、
アフロビートのパートから、いきなりケーンがモーラムを吹くパートにスイッチして、
ドキリとさせられる ‘Current’ と、アレンジのアイディアもいろいろ。
‘Egungun’ という曲名はヨルバ好きには気になるところだけれど、
なぜこのタイトル? 音楽はヨルバとはなんの関係もなさそうだけど。

全編アフロビートというわけではなく、
中盤にはエレピとギターが幻想的なサウンドスケープを描くインタールードに続き、
ネオ・ソウル調のジャジーなトラックもあり。
中盤の3曲は、マルチ奏者ルーカス・ザフィリスの作曲となっています。

そして後半はアフロビートのグルーヴがやや後退した、
アフロ・ジャズ・ファンク調のトラックとなっています。
‘Puaj’ でフィーチャーされるサイケデリックな楽器音は、
サリンがサンプリングした少数民族ニャークルの竹製口琴プアとのこと。
‘Being Here’ で演奏されている楽器はなんだろう? 弦楽器みたいだけど。

サリンの YouTube チャンネルの
“Behind the inspiration of Rammana”  を見ると、
イサーンの吊るし木琴ポンラーンや壺の打楽器ハイなども出てくるので、
これらもサンプリングで使われているのかもしれません。

ラストのタイトル曲はウラク・ラウォイッの民謡にインスパイアされて、
サリンとコンゴ系カナダ人パーカッショニストが作曲した曲。
「乾杯!」を意味する「マチャイヨ!(มาไชโย)」を連呼するキャッチーさがいい。
サリンがクリエイトしたタイ・アフロ・ファンク、これは世界にアピールしますよ。

Salin  "RAMMANA"  Salin  no number  (2025)

Lena  LEMONADE
コケティッシュな歌声にヤラれました。
アイドル的な発声に激しく拒否反応を示す当方ですけれど、
レナの小悪魔的な歌い口は、ノー・プロブレム。
澄んだ甘い歌声には、ジェネイ・アイコのラヴ・ソングに通じる
溜息のような官能がありますね。レナが幼児性を宿していない証しです。

紹介が遅れましたが、レナはヴェトナムから登場したシンガー・ソングライター、
昨年11月にリリースした本作がデビュー作です。
少女のようなルックスですけれど、すでに20代後半。
96年中部ドンハ生まれ。13年からYouTube でカヴァー・ソングを歌い、
19年にソロ・デビュー。多数のデジタル・シングルをリリースして、
5年を経てようやくフル・アルバム・デビューとなったんですね。

いやあ、それにしても、V-POPのクオリティには驚嘆させられますね。
アンビエントR&B・モードのスロウ・ジャムをベースとしたプロダクションは、
めちゃくちゃハイブラウ。しかもプロデュースをリナ本人が手がけているというのだから、
スゴくないですか。ノスタルジックなスウィング・ナンバーもあったりして、
その演出の見事さは、手練れのプロデューサーの仕事を思わせますよ。

楽曲はフックが利いていて、ヴァラエティもある。
ソングライティングの才も確かですねえ。
ソングリストを見ると、全12曲は3曲ずつ4章に分かれていて、
レナの頭文字、L、E、N、Aを冠した章題が付けられています。
それを見ると恋物語のさまざまな局面を表わしているようです。

6面パネル仕様のCDには、ブックレット2種、カード5枚、
ミニ・カード2枚が添えられていて、フィジカル制作への情熱が伝わってきます。
CD制作がどんどん後退する東南アジアのなかで、
ヴェトナムは最後の砦ですね。

Lena  "LEMONADE"  Hãng Đĩa Thời Đại  no number  (2024)

Soobin  BẬT NÓ LÊN
「ヴェトナムの藤井風」という紹介に、聴く前は鼻白んだものでした。
藤井のケタ違いの才能を知る者からしたら、
藤井風を持ち出せるような才能がそうそういるわけないだろと。

案の定、藤井風と比べるような器じゃないことは一聴瞭然でしたが、
なるほど藤井を持ち出したくなる理由もわかるような気がしました。
ソングライティングやメロディー・センスに、
藤井風と共通する作風を感じさせます。

スービンはヴェトナムのポップ/R&Bシンガーで、昨年出した本作がデビュー作。
とはいえ、すでに10年以上のキャリアがある人だそうで、もう32歳とのこと。
Z世代かと思ったらそうじゃなく、ひとつ上の世代なんですね。
声が良くて、素直な伸びやかさのある歌声にまず魅せられます。
エモーショナルに歌いながらデリケートなヴォーカル表現もできる人で、
雄弁な感情表現に才能を感じます。

そして藤井を思わせる作風は、予想外の転調を挿入するあたり。
とりわけバラードで、せつなさの表現であったり、
哀しみを癒す力を伝えようとする場面での転調が効果的で、
テンション・コード使いなどにも、藤井に通じるセンスの持ち主といえそうです。
ヴェトナム語と英語が無理なく融合するヴォーカル・スタイルは、
藤井うんぬんよりも、この世代が共有するグローバル感覚なんでしょうね。

ヴェトナミーズ・シティ・ポップの ‘Sunset In The City’ や、
メロディアスなラップを聞かせるトリンをフィーチャーした
ヒップホップR&Bの ‘Ai Mà Biết Được’ などを聴いていると、
香港や台湾など東アジアに親和性を感じるデリカシーを感じます。

無頼な藤井風のヴォーカルとはまるで違い、
歌い口はかなりセンシティヴで、悪いけどナイーヴといってもいいかも。
そこが女子ウケしそうな、アイドル的雰囲気もある人ですね。

Soobin  "BẬT NÓ LÊN"  SpaceSpeakers/Hãng Đĩa Thời Đại  no number  (2024)

Dayang Nurfaizah  JANJI
マレイシアのR&Bシンガー、ダヤン・ヌールファイザが
マレイ伝統歌謡に挑戦したのは思いもよらず、驚かされました。
続編まで出したところにダヤンの本気度が表れていましたけれど、
その続編 “BELAGU II” が大力作で、ドギモを抜かれましたね。
マレイシアから伝統歌謡がすっかり聞こえなくなっていた時期だけに、
このアルバムにはカンゲキしました。
もちろんその年の個人ベスト10にも選びましたよ。

あれから2年、化粧箱ボックスに収められた豪華な新作が届きました。
封入された17枚のカードには、ダヤンがさまざまなポージングで収まっていて、
どれもジャケットにするのにふさわしいフォト揃いなのに、
化粧箱の表には、あえてブレた写真をチョイスするという、
ディレクションのセンスに脱帽。
そんな写真のムードが暗示するかのように、
本作はなんとバラード・アルバムです。

いかにもマレイシアン・ポップらしい、哀感のあるバラード・ナンバーが揃っていて、
ダヤンの確かな歌唱力が発揮されています。
ちょっとクセのあるダヤンの歌いぶりは、つぶやくような歌の表情がとても豊かで、
歌の説得力を増すのに役立っていますね。

1曲目の ‘Hakikat Cinta’ がまさにそれで、
切々としたダヤンの熱唱にグッときてしまったんですが、
なんとこの曲、99年のデビュー作のオープニング曲だったんですね。
セルフ・カヴァーで再演した今回も1曲目に置くあたり、
きっと思い入れのある曲なのでしょう。

こういう作風って聴き覚えがあるなあと思ったら、ファウジア・ラティフや
シティ・ヌールハリザに提供していた作曲家アドナン・アブ・ハッサンの曲なのですね。
アドナン・アブ・ハッサンはダヤンの99年のデビュー作のプロデューサーでもあっただけに、
16年に亡くなったアドナンへの追悼の意も込められていたんでしょうか。

デビュー作での同曲を YouTube で聴いてみたんですが、ういういしさ満点。
こういう曲を歌うには、まだつたなさを感じさせる歌いぶりで、
やはり円熟した現在ならではの再演でこそ、この曲の良さが引き出されたと感じます。
伝統歌謡ばかりでなくバラードもいける、いまやR&Bシンガーの域を超えた、
マレイシアを代表するポップ・シンガーとしての器の大きさを示した作品です。

Dayang Nurfaizah  "JANJI"  DN & AD Entertaintment  no number  (2024)

Dzung  DZANCA
おー、ヴェトナムにもこういうギタリストがいるのか。
インドネシアのトーパティ・エスノミッションを思わせるエスニック・ロック・サウンド。
民謡をモチーフにコンポーズされたオリジナル曲は、
ヴェトナム音階のペンタトックをふんだんに取り入れていて、
そのメロディをヘヴィメタなギターがぎゅわんぎゅわんと弾き倒すというアルバム。

ヴェトナム人ギタリストでこんなハードなギターも弾ける人といえば、
大御所のグエン・レがいますけれど、
グエン・レはジャズを出自とするギタリスト。
トーパティも出発点は、ジャズですね。

それに対してズンは、正真正銘のロック・ギタリストなんですね。
経歴をみると、ズンことファム・ヴィエット・ドゥンは89年ハノイ生まれ。
16歳でファイナル・ステージというデス・メタルのバンドに参加して、
のちにバンド・リーダーとなり、18歳の時デビューEPを出しています。
ファイナル・ステージの成功で自信を深めたズンは、
11年にホーチミンに移住してハック・サンという
新たなプログレッシヴ・メタル・バンドを結成し、
さらに大きな成功を呼びました。

ハック・サンの活動と並行して、18年からソロ・プロジェクトを行い、
プログレッシヴ・メタルでワールド・ミュージック的展開を試みた
3作目の本作は、ヴェトナムの評論家筋から絶賛を浴びたそうです。
このアルバムには、ダン・バウ(一弦琴)、ダン・チャン(筝)
ティエウ(笛)を演奏する奏者が参加するほか、
ヴェトナムのビッグ・バンド、イエロー・スター・ビッグ・バンドや
多くのセッションにひっぱりだこのタイのロック・ギタリスト、
ジャック・タマラットが参加しています。

1曲目のイントロとラストのリプライズは同じ曲で、
ラストの方では、ズンがギター・フィムロンを弾いているのが聴きもの。
アクースティック・サウンドのゆらぎ音を全面に押し出し、
アルバム・タイトルを「ザンカー」(本来のスペルは dân ca )
すなわち民歌としたズンの心意気を感じます。

Dzung  "DZANCA"  Hãng Đĩa Thời Đại  no number  (2020)

Saigon Soul Revival  MỐI LƯƠNG DUYÊN
ついにこういうバンドが、ヴェトナムからも出てきましたか。
ホーチミンを拠点とするフランス人1名を含む5人組。
南ヴェトナム時代のサイゴンで流行したサイゴン・ロックをリヴァイヴァルさせようと、
バンド名まんまの企てを試みています。

ちょいとハスキーな女性歌手グエン・アン・ミンをフロントに立て、
ホーンズを含むタイトで引き締まったサウンドを聴かせていて、
なかなかに痛快なガレージ・ロックを繰り広げているんですよ。
19年にデビュー作を出していて、今作が2作目。
デビュー作もちょっと試聴してみたけど、今作の方が断然いいね。

仕掛人は、ホーチミンに12年以上在住するドイツ人DJのヤン・ハーゲンケッター。
サイゴン・スーパーサウンドから、戦前サイゴンのレアEPを
キュレーションしたコンピレを出していた人ですね。
一連のシリーズがお気に入りなら、サイゴン・ソウル・リヴァイヴァルはツボでしょう。

スカあり、ラテンあり、ロックンロールありのレパートリーで、
サウンドをローファイにするようなあざとい演出はなく、
クリーンな音質に仕上げたところは好感がもてます。
ヴェトナム民俗色をほのかに薫らせるダン・チャン(筝)、ダン・グエット(月琴)、
ダン・バウ(一弦琴)のさりげない使い方も嬉しいですね。

日本のカンボジアン・ロック・バンドのクマイルスや、
タイのハイ=ファイ・タイ・カントリーと対バン・ライヴやったら楽しそう。

Saigon Soul Revival  "MỐI LƯƠNG DUYÊN"  Saigon Supersound  no number  (2024)

Như Quỳnh  Yêu Anh Em Chẳng Còn Gì
ヴェトナムで1月4日に発売されたニュ・クインの新作。
前作は入手するまで2年もかかってしまいましたけれど、
今回は抜かりなく手はずを整え、発売9日後には手元に届きましたよ。

新作は3面パネルのデジパック仕様で、表紙裏には、
ニュ・クインのお姿を写した11ページにわたるミニ写真集とカードが付いています。
ヴェトナム盤らしい美麗な装丁ですね。

いやぁ、ニュ・クイン、ほんと素晴らしいですね。
声の落ち着きには円熟味を十分感じさせながらも、
透き通った発声の美しさは格別。
そして安定感のある丁寧な歌唱が、ヴェテランの風格を表わしています。
00年代の絶頂期を上回る完全復帰じゃないですか。

前作は、トゥン・チャウとハック・トゥアンの二人がアレンジしていましたが、
今作はトゥン・チャウ一人で、従来のトゥイ・ガのプロダクションに戻った感じ。
前作でサウンドに少し変化を感じたのは、
ハック・トゥアンという人のアレンジゆえか。トーイ・ダイの関係者でしょうか。

トゥン・チャウは、ニュ・クインの20年来の音楽監督とプロデューサーを務めてきた人。
クインの00年代のアルバムは、すべてこの人がプロデュースしていました。
トゥイ・ガ・センターの歌謡ショー、パリ・バイ・ナイトのメイン・アレンジャーです。

ダン・チャン(筝)と笛をたっぷりフィーチャーした1曲目のタイトル曲は、
トゥン・チャウ作の新曲。続く2曲目も新曲で、その後の8曲は
すべて旧南ヴェトナム時代(54-75年)に作曲された
黄色歌謡、あらためボレーロばかり。
相当の数のアルバムを聴いているぼくでも知らない曲ばかりで、
この時代にどれだけの数のラヴ・ソングが作られたのか、想像がつきません。
去年11月の入手以来、ヘヴィロテ中の前作ですけれど、
本作と連続聴きがしばらく続くことになりそうです。

ところで、本作も前作もヴェトナムのトーイ・ダイからのリリースで、
アメリカのトゥイ・ガからは出ていません。
トゥン・チャウのプロデュース作品なのだから、
トゥイ・ガから出ても不思議ないのに、なぜなんでしょうか。
アメリカのファンが置き去りにされちゃって、気の毒ですね。

Như Quỳnh "YÊU ANH EM CHẲNG CÒN GÌ"  Hãng Đĩa Thời Đại  no number  (2024)

May Thet Htar Swe, Banyar Han, Thoon (Thun)
もう1枚が、中央の女性歌手の後ろに、
男女の歌手が顔をのぞかせる構図のジャケットで、
真ん中に立っているのは、ひょっとしてメーテッタースウェ???

歌声を聴いて、すぐにそうとわかったけれど、
ジャケットの写真はずいぶんオトナっぽくなりましたねえ。
メーテッタースウェのアルバムを最後に聴いたのは、もう7年も前なのかあ。
このアルバムは23年に出たもので、それならメーテッタースウェは21歳。
そりゃあオトナっぽくもなるわけです。

才能あふれるローティーンの少女歌手が
次々と登場するミャンマー伝統歌謡シーンに、胸をときめかせたのも今は昔。
クーデター後のミャンマー音楽はブラックアウト状態が続いていましたが、
23年に新作を出していたとは朗報です。

本作はメーテッタースウェのソロではなく、
男性歌手のバニャーハンとデュエットする曲や、
女性歌手のトゥンがソロで歌う曲や
バニャーハンとトゥンがデュエットする曲が収録された伝統ポップ作。
バニャーハンもトゥンも伝統ポップのシンガーで、
バニャーハンはソーサーダトンとよく共演している人です。

新作を出していると知って、メーテッタースウェのサブスクをチェックしたんですが、
このアルバムの収録曲はシングルとしてあがっているものの、
アルバムとしては載っていませんね。単独作品じゃないからなのかな。
かわりに、同じ23年に “TAYAR NAR KYWA TAW MU PAR” という新作が出ていて、
試聴するとサイン・ワインをたっぷりフィーチャーした伝統歌謡アルバムじゃないですか。
うわぁ、これCD出てるのかなあ。なんとしても手に入れねば。

May Thet Htar Swe, Banyar Han, Thoon (Thun)
"MYAW LINT NAY TONE PYO PHONE HLAN KHAE PAI"
Man Thiri  no number  (2023)

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