
サックス・ジャイヴのリヴァイヴァル作!
いやぁ、こんなCDがあったとは。
ぼくが入手したのはガロが出した07年の再発盤で、
オリジナルは98年のポリグラム盤。
2000年前後の南アには、半世紀昔の音楽を回顧する傾向がありました。
ザ・マンハッタン・ブラザーズの名復刻作が出たのもちょうどこの頃だったし、
マラービやクウェーラのコンピレーションなんかも盛んに出ていたもんなあ。
それにしても、新録でサックス・ジャイヴを演奏したアルバムがあったとは。
オドロキというほかありません。
いにしえの南ア音楽について、少し復習しておきましょうか。
いまからちょうど1世紀前の1920年代。
ジョハネスバーグの非合法酒場シェビーンで、民族の異なる労働者たちが
マラービを生み出します。やがてアメリカのスウィングやジャンプ・ミュージックの
影響を受けてマラービはモダン化し、40年代にはビッグ・バンド編成となって
ツァバ=ツァバといった新たなスタイルが流行します。
その一方、ストリートの若者が安価なブリキ製の笛ペニー・ホイッスルで
マラービやツァバ=ツァバを模倣した音楽を始め、
その音楽はクウェーラと呼ばれて人気を博しました。
クウェーラはモダン化したマラービを、もう一度下層庶民の手に
取り戻したスタイルでもあったのですが、
そのクウェーラをジャズ・ミュージシャンが取り上げ、
そのクウェーラをジャズ・ミュージシャンが取り上げ、
サックスやピアノなどを加えて演奏を始めたのがサックス・ジャイヴだったのです。
サックス・ジャイヴはやがてンバクァンガを生み出すベースにもなりました。
サックス・ジャイヴを代表するサックス奏者にザックス・ンコーシがいましたが、
デイヴィッド・テクワネはサックス奏者よりプロデューサーとして名を馳せた人。
同じサックス・ジャイヴ出身のサックス奏者から名プロデューサーとなった
ウェスト・ンコーシと同じポジションの人ですね。
デイヴィッド・テクワネはザ・ムーヴァーズの立役者となったことで知られています。
ぼくはデイヴィッド・テクワネのサックスを初めて聞きましたけれど、
クウェーラのストリート・センスいっぱいの演奏には、嬉しくなりましたね。
ざくざくと刻まれるギターにのってブロウするサックスは、ジャイヴ味たっぷり。
アコーディオンが入る曲もあり、全曲テクワネの自作です。
David Thekwane "JIVE HITS" Gallo CDGSP3121 (1998)