

♪ どんがっ つっか どんがっ つっか ♪
ギクシャクと強烈にもたったリズムは、一世を風靡したハリージを思わせます。
古手のワールド・ミュージック・ファンなら、
オフラ・ハザの『イエメン・ソングス』を思い起こす人がいるかも。
https://bunboni.livedoor.blog/2010-05-08
イエメン系イスラエル人音楽家のエヤル・エル・ワハーブを中心に、
イラク、ポーランド、モロッコにルーツを持つ音楽家が集まり、
19年にテル・アヴィヴで結成されたという、エル・カート。
3作目となる新作を聴いて、いっぺんで気に入り、
2年前に出た前作もすぐさま購入しました。
なんでも、このバンドの呼び物は、
エヤル・エル・ワハーブが制作した数々のDIY楽器で、
バンジョーの形をしたベースや、鍋とロープと棚で作ったチェロだの、
石油缶ほかのパーカッションなど、数多くの楽器が使われているそう。
エヤルの担当楽器には、聞いたことのない珍妙な楽器名が
多数クレジットされていますが、でもこのバンドの面白さは、そこじゃないですね。
エヤルはイエメンの伝統音楽を忠実に学びながら、
DIY楽器の使用や現代的なリズム・フィールを通して、
イエメンの伝統音楽をリクリエイトすることに成功しています。
この2枚のアルバムの聴きどころは、まさにそこですね。
ポリリズミックなパーカッション・アンサンブルが耳をつんざき、
ドローンのようなオルガン、サイケなエレクトリック・ギター、
勇壮なホーン・セクション、アラビックな生ピアノや
ストリング・セクションが交錯する
アラビック・サイケデリアと呼びたくなるサウンドは、
まぎれもなくイエメンの伝統を継承したもの。
イスラエルに集結した離散ユダヤ人の末裔が革新した
イエメンの伝統音楽が、ここにあります
El Khat "MUTE" Glitterbeat GBCD152 (2024)
El Khat "ALBAT ALAWI OP.99" Glitterbeat GBCD121 (2022)